陸では味わうことのできない魅力が山積みの海ですが、厳しさもあります。

その厳しさ(怖さ)とは?!

簡単です。

愛艇の外は刻々と移り変わる海上(水上)だということです。
愛艇が故障したら、同じエンジンで動く車やバイクのようなわけにはいきません。
そして、海上(水上)はエンジンにとって苛酷な環境。
命を預けているといっても過言ではない愛艇のエンジンと仲良く付き合っていくには、相手(エンジン)をよく知ること。基本です。
そこで、まずは船外機をモデルにして、マリンエンジンのトラブルの原因についてお話します。
これを参考に、海上でのエンジントラブルを極力回避していただき、ぜひ、楽しいボートライフを送ってください。

三大エンジントラブル回避のための基礎知識

今回は、海上(水上)では絶対に避けたいトラブル

  1. オーバーヒート
  2. エンジンがかからない
  3. プロペラ等推進期間の故障
    その原因部分を覚えてください。次回より各部分の点検およびトラブル対処方法を説明します。

1.『オーバーヒート』とは

文字どおりエンジンが加熱しすぎることをいいます。どんなエンジンでも空気や水で冷却し、加熱しすぎることを防いでいますが、陸とは違い海にはトラブルを起こすよう因果が多くあります。

オーバーヒートでエンジンが停止してしまうことは、港に帰ることができなくなるということです。
アンカリングの可能な場所であれば船を止めて救助を待つこともできますが、アンカーの届かないような深い場所では漂流してしまい、海の状況によっては大参事にもなりかねません。

いちばん注意しなければならない点は、警告ブザー(リモコン式の船であればオーバーヒートから船を守るためにほとんどついています)が鳴ったらまず冷却チェック水が出ているかどうかを確認し、ただちにエンジンを切ることです。

オーバーヒート状態を続けていると、エンジン内部のシリンダーが膨張し、圧縮が得られなくなりエンジンが停止してしまいます。

また、オイルが焼けて潤滑ができなくなるとピストンやクランクシャフトが焼き付き、ここまでくるとオーバーホールは免れない状態になってしまいます。
エンジンの焼き付いた状態にもよりますが、シリンダー内にキズができる場合もよくあり、キズの深さによってはシリンダーブロックをそっくり交換しなければならなくなり、新しい船外機を買う金額に近い出費となります。

おもな原因
◆冷却水入り口が詰まる→ビニール袋など。
◆シリンダーのウォータージャケット内を冷却水が循環しない
  →海水が蒸発してできた塩の結晶、浅場で吸い上げてしまった泥・砂等で詰まる。
  サーモスタット等の故障。
◆インペラの破損→水を吸い上げない状態で回す。
  インペラ自体の老化。

2『エンジンがかからない』とは

セルモータが回らない、セルは回るが始動しない、とにかくエンジンがかからない……。

出港前ならマリーナに修理を頼んで直してもらえば危険はないが、海上(水上)ではそういうわけにはいきません。

オーバーヒートと同じく帰港できなくなり、アンカリング不可能な海上であれば、船が流された危険です。

修理でオーバーホールになる場合は少ないものの、オーバーヒートなら原因によっては自力で避難することができますが、エンジンがかからないのでは……。
なお、海上の場合(陸上の車等とは違い)、エンジンを止めるときには、危険な場所でないかどうかをよく確かめてから。


おもな原因
◆取扱上のミス→キルスイッチが取れてしまっている。
  シフトレバーがきちんとニュートラルになっていない。
  バッテリーが上がってしまった。
◆電気系の故障→セルモーターが壊れた。
  CDIやプラグの故障など。
◆キャブレターを含む燃料系のトラブル。

3『プロペラ等推進機関の故障』とは

ギアが入らない、抜けない。ある回転までは上がるが、それ以上回転が上がらない。
または、ある回転から急に回転が上がってしまが、船のスピードは変わらない。プロペラがなくなる。
プロペラにロープや釣り糸を絡めた―――などの症状やトラブルに見舞われた場合は推進器の故障です。

プロペラが回っていれば(近くに障害物がなければ)危険は少ないですが、海の状態によっては、マリーナまで帰ってこられません。
プロペラがなくなったり回らないときは、漂流につながる危険があります。

おもな原因
◆操船のミス→漂流物でプロペラを壊す。
  ロープを巻くなど。
◆メンテナンスの不良→シフトケーブル・リモコンボックスの故障。
◆プロペラ自体の老化。

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